伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術の読書記録

目次

書籍情報

概要

  • あらすじ: この本は、リチャード・デニスとウィリアム・エックハートによって教育された伝説の投資軍団「タートルズ」の成功を描いたものです。ほとんどのメンバーが投資未経験者でありながら、わずか2週間の研修プログラムでマーケットで巨額の利益を上げるトレーダーとなりました。
  • 主要なテーマ: トレンドフォロー型のメカニカルトレーディングシステム、リスク管理、資金管理、参入と退出のタイミング
  • 対象読者: トレードとあるとおり、短期投資向けの本で、先物取引に興味がある人向けだと思う。この本で述べられている戦略が株でも有効であるかについては本書では書かれていない。

感想・評価

  • 印象的な部分:

タートルはけっして、市場の動向を予測することをしない。そのかわり、 市場がある特定の状態にあるという兆候を探す。これは重要なコンセプトだ。よいトレーダーは、市場がどう動くか予測しないが、市場が 今どういう動きをしているかを示す兆候に目を向ける。

予測をしないというのが、個人的な感覚と有っていた。予測をするというよりも市場から出てきた兆候に基づき対応するというのが方法としてあっているように感じた。

シャープ・レシオは、株式のポートフォリオのマネジメント戦略を比較する際、リスク・リターン比率を測るのに優れた尺度ではあるが、先物や商品ヘッジファンドのような代替投資ファンドの比較には充分な尺度とはいえない。代替投資ファンドは、レバレッジのかからない株式ポートフォリオに比べると、リスクに関していくつか重要な違いがあるからだ。

タートルズは先物取引をしていた。そのトレードシステムの性能判定にはシャープ・レシオは不適切だと考えいた。

  • 学びや気づき: 認知のゆがみに気をつけることが重要だと考えた。

  • 結果偏向………………ある決断の良し悪しを判定するのに、どんな時点でどんな決断を下したかではなく、決断がもたらした結果から判定しようとする傾向のことを言う。正しいアプローチでも損失は出ることはある。その損失はこれから来る利益のための準備運動である可能性はある。しかしながら、何度も負けると、結果が思わしくないからと言って、使っていたアプローチを否定するようになる。

  • 直近偏向………………過去のデータや経験より、最近のデータや経験に重きを置く傾向。つまり、自分の構築したトレードシステムにおいて、2ヶ月負け続けた場合に、6ヶ月続いた勝ちトレードのことを忘れて、このシステムにエッジがなくなってしまったのだと疑念を抱くこと。

投資・株に関する分析

資金管理

タートルズは、通貨や金利、先物などの多様な市場で取引を行っており、資金管理に高度な戦略を用いてリスクを軽減していました。特に、1つの市場で過度に大きなポジションを取らないようにすることで、市場が暴落した際のリスクを分散させることが目的でした。この手法は、リスク管理の観点から非常に参考になるものです。しかし、個人投資家にとっては、同様の戦略を実行するには大量の資金が必要であるため、現実的には難しいと感じる点もあります。

1市場につき1枚の取引などという過度に単純な戦略と、変動性の正規化を行なわない手法の組み合わせでは、ある市場でのトレードの重要性が他の市場のトレードを圧してしまうという状態が生じかねない。つまり、たとえひとつの市場で 大きな儲け があっても、1枚の規模がはるかに大きい別の市場での 小さな損 を補いきれない場合があるということだ。

リッチとビルが用いたのは、常時、市場が1日に上下する金額にもとづいて、各市場のポジション・サイズを決定する革新的手法だ。彼らは、各市場における取引枚数を、上下動の幅の金額がほぼ同額になるように定めた。わたしたちが各市場で取引する枚数は、この変動性の尺度〝N〟に合わせてあるので、どのトレードについても、1日の変動は同程度になりやすい。

わたしたちは自分たちのポジションをユニットと呼ばれる 塊 で取る。各ユニットの大きさは、取引枚数が1-ATRの価格変動で口座残高の1パーセントになるよう設定されていた。100万ドルの取引口座なら1万ドルだ。

ひとつの市場について、最高4ユニットまで。ふたつ目に、市場間に高い相互関係がある場合はグループごとに最高6ユニットまで。3つ目に、任意の方向に最高 10 ユニットまで(買い持ちに 10、または売り持ちに 10 という具合に)とした。相互関連のない市場でのポジションがあれば、この数字は 12 まで上げることができた。 これらの制限のおかげで、リッチはあの日、おそらく1億ドル以上を損から守ることができた。

長期トレンドフォロー・システムを適切に分散すrためには、おそらく20万ドル必要だろう。4種類か5種類のシステムで取引するには、100万ドル以上必要かもしれない。この要因だけをとっても、多くの人々が自分の口座で個人的に取引するより、商品先物ファンドやヘッジファンドを経営する優秀なプロのトレーダーに資金を預ける理由がわかるだろう。

これらの制限によって、リスクを分散し、極端な損失を防ぐことが可能でした。実際、これらの制限がなければ、大規模な損失が発生する可能性がありましたが、この手法により多額の損失を回避できたとされています。

投資手法

トレンドフォロータイプであり、以下の手法を利用していた。

システム1: 20日ブレイクアウトによる短期システム

  • エントリー: 過去20日間の高値または安値を超えた場合に新規ポジションを建てます。具体的には、価格が過去20日の高値を超えたら買い(ロング)、過去20日の安値を下回ったら売り(ショート)を行います。
  • エグジット: 損失が一定の許容範囲を超えた場合や、トレンドが反転した際にポジションを解消します。
  • 特徴: 比較的短期間でのトレンドを追うことを目的とし、エントリーとエグジットが早いのが特徴です。

システム2: 55日ブレイクアウトによる長期システム

  • エントリー: 過去55日間の高値または安値を超えた場合に新規ポジションを建てます。価格が過去55日の高値を超えたら買い(ロング)、過去55日の安値を下回ったら売り(ショート)を行います。
  • エグジット: 損失が一定の許容範囲を超えた場合や、トレンドが反転した際にポジションを解消します。
  • 特徴: より長期間のトレンドを捉えることを目的としており、システム1よりも少ないトレード回数で、持続的なトレンドを利用します。